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地域創⽣を担う未来の⼦供たちのために。豊かな学びや成⻑を⽀えるSTEAM教育

徳島県松茂町の交流拠点施設マツシゲート
2022.03.04

松茂町は、⼈⼝1.5万⼈ほど。徳島県北東部に位置し、県内唯⼀の空の⽞関⼝「徳島阿波おどり空港」や、⾃衛隊の基地もあります。町の東側には、徳島県名産の鳴⾨⾦時の畑(さらさらした砂地が特徴です)と瀬⼾内海(海⽔浴場もあります︕)が広がる穏やかなエリアです。

2021年、松茂町役場のすぐそばに「地域交流拠点マツシゲート」が完成。
「コワーキングスペース」「キッチンスタジオ」のほか、3D プリンターなどの⼯作機械が設置された「ファブスペース」もあり、世代や業種を超えて新たな産業の創出を⽬指す地域創⽣拠点です。

このなかに、株式会社ヴィリングが運営するSTEAM教育スクール「ステモン」徳島校があります。

地元⼩中学校と教育委員会の「やってみよう」で動き出した松茂町

ーどうして松茂町の学校では、本格的な「プログラミングの授業」や「STEAM教育」が実現したんですか︖

(STEAM教育スクール「ステモン」の徳島校教室⻑ 後藤さん)
いまステモン徳島校はマツシゲートのなかにあるのですが、⼀昨年は国道沿いにテナントがあったんです。そこで「STEAM教育」ののぼりを⾒て、町内の学校から問い合わせをいただいたのがきっかけでした。教育委員会に先進的な教育に熱⼼な⽅が多かったことや、マツシゲートを拠点に新たな「地域創⽣」を⽬指して⾃治体全体が動き出した、というタイミングも⼤きかったですね。
「地域の教育⽀援」に積極的に関れる機会を増やすことで、ステモンが本来⽬指している「教育を通した社会貢献」につなげたいと思っています。

導⼊の前にはヴィリングの代表である中村さんが、何度も松茂町に⾜を運び、先⽣⽅への研修や打ち合わせを重ね、授業の年間計画を⽴てる時間が必要でした。
プログラミング教育推進事業者として、東京都教育委員会や⼤阪市教育委員会と連携してきた実績をもとに、プログラムを提案。
こうして2021年度春、松茂町内の3つの⼩学校と1つの中学校でプログラミングの授業がスタート。
株式会社ヴィリングと連携した、松茂町のSTEAM教育プログラムがはじまりました。

徳島県松茂町でプログラミング授業を受ける子どもたち

プログラミング授業もSTEAM教育も「いま」がスタート

実際に松茂の⼩中学校で指導しているしている株式会社ヴィリングの代表 中村 ⼀彰先⽣に伺いました。

(株式会社ヴィリング 代表 中村 ⼀彰⽒)
「2020年にプログラミング教育が必修となりましたが、ほとんどの学校でまだ形が出来上がっていません。プログラミングの授業にしっかり取り組めているのは、全体の5%程度です。
⼀⽅で、⽣徒ひとり⼀⼈にタブレットが⽀給され、学校の設備もようやく整い、GIGAスクール構想が⼤きく前に進み始めました。
プログラミング教育に取り組むためのベースがようやく整ってきたところなんですよ」

ー「いまから」という中村先⽣の⾔葉を聞いて安⼼しました。地⽅に暮らしているから乗り遅れているのでは︖と不安だったんです。

「じつは、地⽅こそ、⼀歩先を⾒たSTEAM教育が必要なんです。
松茂町の場合も、地⽅創⽣や地域活性を⽬指して、地域と学校が⼿を取り合って取り組んでいこう︕という意気込みでプログラムがスタートしました」

未来の地域活性につながるSTEAM教育

ー地⽅だから諦めるのではなく、地⽅だから⼒を⼊れてSTEAM教育に取り組んでいこう︕ということなんですね。

「たとえば『地元産業の魅⼒を発信するCMをつくる』とか『災害時の避難所に必要なものを考える』など、地域に根ざした活動や教育のなかで”問題解決”の思考を育むことが将来の地域の⼒になっていく、とわたしたちは考えています」

ー確かに、地⽅に暮らしていると、将来を⽀えてくれる次の世代が「課題解決できる⼒」を持つことが本当に必要だと感じます。

ー実際にプログラミングとSTEAM教育がどう関連するのか、プログラミングの授業はどんなことをしていくのか、ぜひ教えてください。

「プログラミングの授業の基本は、表現したいことをイメージしたり、どうすればそれが伝わるか⼿順を考えていくことです。プログラミングを学ぶことで、タブレットやパソコンを使えるようになり、表現の幅が⾃然と広がります。
次に学んだ基礎知識をもとに実装し、失敗したときには『なんでだろう︖』と考えます。『ここがあやしいのでは︖』と仮説を⽴てて、問題点を⾒つけ、修正していく。その繰り返しの中で思考⼒を鍛える要素を、プログラミングの授業に⼊れていくんです」

黒板の前でプログラミング授業を行う中村一彰氏

プログラミングは「思考⼒」を伸ばすきっかけのひとつ

ーなるほど︕「プログラミング」は⼿段、その⼿段を「どう活⽤するか」を考えていくことがSTEAM教育なんですね。

「そうです。アウトプットを⽬的にプロジェクト形式で課題に取り組むのが『PBL(問題解決型学習Project Based Learning)』の基本です。
⾃分たちで考えたプロジェクトを表現するために、正解のない議論(課題)を重ね、問題解決につなげていく。プログラミングの授業を通して、こうした思考を学んでいくのが、わたしたちが提供しているSTEAM教育なんです」

小学校のある日の時間割。3時限目にSTEAM学習の文字が見える。

ー「ステモン」がプログラミング教室ではなく、STEAM教育スクールである理由が分かった気がします。

「ありがとうございます。『ステモン』は、プログラミングができるようになることを⽬指すのではなく、ブロック・プログラミング・ロボットなどを使いながら、創造⼒・表現⼒・論理的思考⼒・問題解決⼒を⾝につけていくことを⽬的にしています。
でも⼦どもたちも急に難しいものはチャレンジできませんよね。
そこでまずは『学年に応じた知識・興味・関⼼に沿った課題』の設定をします。⼩中学校のSTEAM学習では、ステモンのノウハウを活かして、⼦どもたちが取り組みやすい仕組みで提供しています」

ープログラミングの技術や知識だけでなく、STEAM教育の視点を持った ”しかけ” が⼤切ですね。

「STEAM教育の取り組み⽅も、GIGAスクール構想の実現の仕⽅も、地域にあった展開が必要です。全国で展開する『ステモン』での経験や実績から、わたしたちがお⼿伝いできることがあれば、情報やアイディアを提供していきたいと考えています。
地域の特⾊を活かしたSTEAM教育で、⼦どもたちが⾃ら学べる場を増やしたい︕という学校や⾃治体をこれからも応援していきたいですね」

ーありがとうございました。

次回からはSTEAM教育のプロがサポートする、「地⽅の公⽴⼩中学校のSTEAM教育」をレポートしていきます。

STEAM教育

STEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)に加え、芸術、⽂化、⽣活、経済、法律、政治、倫理等を含めた広い範囲でAを定義し、各教科等での学習を実社会での問題発⾒・解決に⽣かしていくための教科等横断的な学習
⽂部科学省「STEAM教育等の各教科等横断的な学習の推進」より
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/mext_01592.html

ライター紹介

宮本幸子(みやもとさちこ)/地方でも実現できる「プログラミング的思考を育むSTEAM教育」に関心を持ち、株式会社ヴィリングが提供する公立小中学校のSTEAM教育を取材中。タウン誌の編集やラジオリポーターを経て、現在はライター・講師として活動。徳島県在住、二児の母、1980年生まれ。