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日本のSTEM教育について

2017.02.28

こんにちは。ステモン!運営事務局です。

今日は、日本の教育現場におけるSTEM教育の現状および見通しについて皆様にお話させていただきたいと思います。

 

日本でのSTEM教育への取り組みとしては、文部科学省が2002年から行っている科学技術・理数教育を重点的に行う高校を「スーパーサイエンスハイスクール」と指定する制度の取り組み等があげられます。ただ、国を挙げての取り組みとまでは至らず、欧米やアジアのSTEM教育先進国と比較すると残念ながらかなり遅れを取っていると言わざるを得ません。

文部科学省は2020年(平成32年)から小学校でプログラミング教育の実施を決めました。実施するプログラミング教育は、いわゆる「コーディング(プログラミング言語を用いた記述方法)」を教えるものではなく、「プログラミング的思考」を育むことを目標としています。

「プログラミング的思考」とは、一つの動きを実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であるかを理解し、その一つ一つの動きに対応する記号をどのように組み合わせたらよいのかを考える力です。応用・発展すると、その記号の組み合わせを改善・工夫することによって、よりイメージ通りの動作に近づける論理的な思考力を身につけていきます。

 

 

科学的な「プログラミング的思考」の習得にはSTEM領域の基礎学力が欠かせないのはもちろんですが、小学校においては、教師が身近な生活の中での気づきを促したり、各教科で身に付いた思考力をプログラミング的思考につなげることも有効です。

たとえば音楽教科においてもプログラミング的思考との関係性を見い出すことができます。

音の長さや高低、強弱の組み合わせ、速度などの指示を構成して曲をつくる工程は、デジタルでの作成のみならずアナログ的な作曲過程でもプログラミング的思考をもつことがわかります。

また、日本の小学校の「生活科」という教科は、理科・社会・家庭科の学習内容を統合しており、総合的な思考力や検証力を育むSTEM教育的な内容ともいえます。体験型の学習は、ものごとをじっくり考え、科学的に検証し、わからなかったり失敗したりしたときに解決策を考える問題解決力を身に付けていくことができます。

 

 

STEM教育の一環であるプログラミング教育導入のために、小学校ではタブレットの配備や無線LAN環境の整備などICT環境の整備が進められている段階ですが、ICTツールを使って授業をすることがSTEM教育ではありません。

学校教育として実施するプログラミング教育は、「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力」、「学びに向かう力、人間性等」の三点を柱に、人間の活動とコンピュータによる処理の関係性、それぞれの利点などに気づき、活用する能力の育成を目指します。

このように、プログラミング教育を通じて身に付けたものごとのとらえ方や学びを、未知の状況にも対応できる思考力や判断力、創造力へつなげ、人生や社会に生かせるよう期待されています。

参考

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/122/attach/1372525.htm
http://www.wormo.net/topics/world/121/