「人のために働く」を実現するため 48歳でリタイアし、独立開業
株式会社ヴィリングが創業当時から伝え続けてきたSTEAM教育の重要性が、少しずつ地方にも浸透しはじめました。全国に120校 あるステモンの教室は、たくさんの先生方が活躍し、子どもたちにSTEAM教育の魅力を届けています。
ところで、どんな人がステモンの先生になっているの?
そもそもどうして独立開業して、ステモンの教室をしようと思ったの?
ここからは、全国でステモン教室をフランチャイズ経営している先生=オーナーさんのインタビューをお届けします。
【エリア】関東地方(群馬県)
【教室】ステモン高崎校
【オーナー歴】4年(2017年10月開校)
【生徒数】66名(2021年1月時点)
鈴木義章(すずき・よしあき)さん
20年以上勤めた大手メーカーを退職後、海外で働きたいという子どものころからの夢を実現。帰国後、手に職をつけようと社労士の資格を取得。その後、個人事業主としてステモン高崎校をスタートしました。退職から今日までのすべては、「自分のためだけでなく、人のために働きたい」という気持ちから始まっていました。
現在66名の子どもたちが通うステモン高崎校。「子どもが好きなんですよ」とメガネの奥の優しそうな目をいっそう柔らかくして話す鈴木義章(すずき・よしあき)さん。
人生の折り返し地点だと感じたきっかけは、東日本大震災でした。それまでは周囲と足並みを揃えて進んでいくタイプでしたが、「人生をもっと楽しみたい。自分のためだけでなく、人のために働きたい」という思いが、ターニングポイントとなりました。
「2017年に開校し、プログラミング教室としてすでに4年以上の実績を持つ高崎校。」
震災をきっかけに48歳で脱サラ
第2の人生を自分らしく
震災から数年が経った48歳のとき、20年以上務めた大手メーカーを退職し、中国で日本語教師として働きはじめた鈴木さん。海外で働くという子どものころからの夢と、自分より若い世代の力になりたいという、二つの思いを叶えるための挑戦でした。しかし二年後、実家のお父様の病気をきっかけに、地元である高崎に帰ることになります。
年齢的にも新しい仕事をするには手に職が必要だと考え、以前から興味のあった労務関係の資格取得を目標に、社労士事務所で勤務。二年後、社労士資格を取得しましたが、心のどこかで、思っていた仕事ではないと感じていました。
「中国で日本語教師として働き始めた鈴木さん。小さいころからの思いを実現しました。」
ビジネス経験ゼロからのスタート
フランチャイズを選んだ理由
そんなとき、プログラミング教育が2020年度から必修化というニュースが流れました。
「大学時代に学んだということもあり、おもしろそうと思ったんです。若い世代のためにできることと、自分のやりたいことが、ぴったりと合った気がしました」。
「ただ、ずっと雇われていたので、ビジネス感覚がないという不安がありました。そこでフランチャイズという選択肢が出てきました。カリキュラムもちゃんとしていて、ある程度サポートしてもらえる、ビジネスについても学べる、と思ったんです」。
ネットで資料を取り寄せ、セミナーに参加、岡山まで授業を見に行くこともありました。教室の運営・経営、加盟金やロイヤリティなどフランチャイズの仕組み、個人事業主としての開業についてなど様々な角度からリサーチを重ねました。
「最終的には3つくらいの会社に絞って、見積もりをとって検討しました。最後は、自分が楽しいと感じられること、カリキュラムにちゃんと特色があることをポイントにしてステモンに決定しました」。
独立開業を決めて社労士事務所を退職してから、7か月が経っていました。
「開業直後の教室の様子。開校前は生徒が集まるか、ということ以上に「やりたいことが実現できる」という楽しみが大きかったそう。」
56歳のいま、
鈴木さんにとっての「仕事」の意味
早期優遇退職でもなく、独立開業を夢見ての退職でもなかった鈴木さん。誰もが知る大手メーカーを離れることに不安はなかったのでしょうか。
「所属していたデザイン部門には退社してフィールドを変える人や独立する人もいたので、退職や転職はよくあることでした。独身ですし、両親にも特に言わず仕事をやめました。ただ、自主都合による退職なので、退職金は数十万円と少なかったです。財形貯蓄はありましたが、なにもしなくて生きていけるような額ではありませんでした。でも震災の後、このまま人生楽しめるんだろうか、という思いが頭をよぎり、自分のためだけじゃなく人のためにも働きたいと考えるようになりました」。
「会社にいたときは、仕事だからしているという感じ。でもいま、仕事の意味そのものが変わってきました。自分で選んで仕事をしているので楽しいですね。なにかしらプラスになる、という思いでやっています」。
「鈴木先生に教えてもらった新しい知識で、さっそく「できるかな!?」を試してみる子どもたち。」
開校当初は集客に苦悩したが
地域に競合がいない利点を活かす
「やりたい気持ちが強く、開業してからどうなるかという心配はしてなかったんです。でも実際、開業してからは深刻でした。地元のフリーペーパーに広告を出す、ホームページをつくる、近所にチラシを配る。毎月のように学校前でチラシを配ったこともありました」。
世間のムードに対してSTEAM教育の開業はタイミングが早すぎたのでは?
「いえ、結果的には2017年に開業して良かったですね。プログラミング教室があそこにも、ここにもある、という状態だったら開業していませんでした。この地域にまだない、という早い時点で始めてよかったと思っています」。
実は群馬県ではGIGAスクール構想への着手が早く、2020年には全児童にタブレットが配布されました。
このときすでに、2年以上の実績を持つステモン高崎校。自治体の取り組みや地域の盛り上がりが大きな後押しとなり、生徒数は右肩上がりに増えていきました。
開業から二年半、気付けば鈴木さんが想定していた「利益が出る人数」に達していたのです。
「生徒が増えたので、子どもたちの活動がよりスムーズになるようにレイアウトにも工夫を凝らしています。」
ステモンで実現した
「誰かの役に立ちたい」という思い
「ステモンを選んだのは、ゼロからものづくりの楽しさがあるところ。パソコンだけのプログラミングだと競合が出てくる可能性もありますが、物理・エンジニアリングというほかにはない特色がステモンにはあります。保護者の人が『子どもになにかやらせたいな』と思ったときに、今まで見たことないようなものがある、というのもステモンの魅力です」。
レッスンのなかには、ブロックを使って思考力を鍛えるカリキュラムもありますが、通っている生徒のなかには、「お手本があるから安心できる」という子もいます。
「保護者の方とも相談し、見本を必ず準備していたんです。でもこの前、よく見たら、自分でオリジナルの部分を付け加えてるんですよ。あれ!と驚きました。次もじっくり子どもの挑戦を見てみようと思っています」と子どもたちが成長し変化する姿に喜びを感じています。
48歳のとき鈴木さんが思い描いた「自分の知識や経験を人のために役立てたい」が、8年後のいま、ステモンを通してカタチになっていました。
「日々のレッスン写真はメールで送り、保護者の人と一緒に子どもの成長を感じている。「『最近自信が持てるようになってきたみたいです』という保護者からのお返事が嬉しかったですね」。」