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オルタナティブ・スクール「HILLOCK(ヒロック)初等部」が、学習プログラムでSTEMON(ステモン)を活用

2023.07.07

2022年4月、東京・世田谷区砧公園隣に開校した、
オルタナティブ・スクール「HILLOCK(ヒロック)初等部 https://www.hillock-primary.com
「ワイルド&アカデミック」を掲げ、従来とは異なるかたちの教育を実践しているこの学校では、開講当初からSTEMONのプログラムが導入されています。


・HILLOCK(ヒロック)初等部って、どんな場所?
・ステモンがどのように取り入れられているの?


今回は、シェルパ(HILLOCKでは、『先生』とは呼びません。子どもたちを導くガイド『シェルパ』と呼びます!)として、日々子どもたちの成長と変化を間近に見ている、蓑手さんと五木田さんにお話を伺いました。

【お話をしてくださった方】
スクール・ディレクター(校長)蓑手章吾氏:ICTやプログラミング授業に取り組む先進的な公立小学校で、個に寄り添う学びを追究してきた。
カリキュラム・ディレクター五木田洋平氏:私立小学校で日本語版国際バカロレアの探究学習やICT教育を実践。『ICT主任の仕事術』という著書を持つ。

「目の前の子どもたちがすくすくと育てばいい」

HILLOCK(ヒロック)初等部は、現在生徒が26名。いわゆる「ふつうの学校」とはまったく違う授業風景が、そこにはあります。

子どもたちが自分で目標を立てて取り組む「自由進度学習」。
好きなことを選び探究していく「マイプロジェクト」。
身近なものや社会のなかから、体験を通して学んでいく「テーマ学習」。


聞いているだけでワクワクしてくる内容です。
でも、子どもたちの「やりたい」だけで本当に大丈夫?

心に引っかかった小さな疑問を吹き飛ばしてくれたのは、「目の前の子どもたちがすくすくと育てばいいんですよ」という、五木田さんのシンプルな言葉でした。

「つくって学ぶ」
STEAMが凝縮されたステモンのブロック教材

学習のなかで、常に「遊び」と「身近」を意識していると話す五木田さん。だからこそ、ステモンの教材のひとつであるブロックが、とても良いのだと言います。

「いまの学校のSTEAM教育には、『作品作り』というニュアンスが含まれています。正解を提示し、『どうすればこれになるか』と取り組む。それは、サイエンスでも、テクノロジーでも、エンジニアリングでもない。

でもステモンのブロックは、『これをつくりなさい』という答えがない。自分でつくりながら学べる余白がある。そこが魅力であり、使い続けている理由です」。

ステモンのブロック教材の魅力について、五木田さんはさらにこう話します。

「例えば、身近な橋や塔をつくるテーマ学習では、ステモンのブロックを使っています。つくっていると、『より強いものにしよう。もっと長くしよう』と、子どもたちに遊びが生まれます。ところが、長くすると崩れる。大きくするとバランスがとれない。じゃあどうすればいいんだろう?と考える。そこではじめて、エンジニアリングやサイエンスにつながっていく。

どのブロックをつかっても橋や塔のようなものはつくれるんですよ。でも、使うパーツを三角にするか四角にするかで、強度やデザインが変わってくる。一人一人のアイディアで、変化を作り出せるんです」。

成長できる「学び方」ってなんだろう?

HILLOCK(ヒロック)初等部には、学年ごとの授業はありません。少人数で子どもたちが一緒に学ぶ「縦割り編成」。そうなると、教え方が難しくなるのでは?と気になってきました。

「その『教える』というマインドが、もうすでに、横並びな答えを求めているんですよ」と五木田さんに言われてドキリ!!!

「私たちは、教え込むのではなく、知ってる知識を伝えるだけ。先ほどの『橋』のテーマ学習では、ステモンのブロックをはじめて手にする子や、去年も学んでいる子がいます。そこで、まずは、みんなが知ってる橋や塔を伝え合う。ほかにも、ネイティブの先生の出身国にあるものや、旅先で見たものを伝える。選択肢を広げたあとは、『どういうものを作るかは、あなたたち次第だよ』となる。『これをつくりなさい』という答えはいらないんです」。


「ステモンのブロック教材は、なにより、自由度が高い。組み合わせに試行錯誤しながら、その子なりの『よりよく』ができる。つくりながら学ぶことができる。自由な発想ができる最高のアイテムです」。

「やって分かる。遊んで分かる。試して分かる。ステモンとHILLOCK(ヒロック)初等部の親和性は、そこにあるんですよ」。

ゴールは、子どもたちの好奇心に火をつけること

スクール・ディレクター(校長)である蓑手さんの話しです。「子どもたちがやりたいことをやっているから、HILLOCK(ヒロック)では、99%の子が嬉々として学んでいます。結果、進度が早い子もいます。学びの順番もバラバラ。それでいいんです」。

「割り算のひっ算に取り組む3年生がいて、理由を聞くと『かっこいいからやる』って言うんです。でもその子はまだ、掛け算のひっ算ができない。そこで気付くわけです。『掛け算のひっ算をやれるようにならなきゃ、割り算のひっ算ができないぞ』と(笑)」。

「学びの本質は、そこなんです。山登りと同じです。頂上で達成感を感じたい、美味しいおにぎりを食べたい。だから登る」。

「タイピングや、文字を書くことも同じ。好きなことをやっていくなかで、基礎学力には出会うはずなんですよ。虫が好きで、知りたい。だから虫のことを知ろうとする。すると、読み書き計算が必要になる。そして基礎学力が身に付いていく。でも、いまの学校教育では、『やらないと大変だぞ』しかないんです」。

蓑手さんのことばに、「子どもたちの成長は、好奇心への刺激なしには語れない」と気付かされたのでした。

その思いは五木田さんも同じです。「学習は、知識を習得して終わりではありません。『もっとやってみたい。気になる』という、子どもたちの好奇心に火をつけるところが、本当のゴールなんですよ」。

「好奇心のタネに火をつける」。それは、STEMONが公教育に関わったり、イベントでプログラミング講座を提供するときに、ずっとずっと大切にしてきたことでもありました。

HILLOCK(ヒロック)初等部とステモンの出会いとは

「HILLOCK(ヒロック)初等部が生まれたのは、中村社長の存在があったからと言ってもいいかもしれません」と話す蓑手さんと五木田さん。
実は、HILLOCK(ヒロック)初等部誕生には、ステモンを運営する株式会社ヴィリングの代表である中村一彰が大きく関わっていました。

5年ほど前。中村は、起業家として民間教育と公教育の両面からの教育改革を目指し、小金井市立前原小学校で理科教員を務めていました。

小金井市立前原小学校は、従来の「学びの枠」を越えた取り組みを行い、当時から教育関係者の注目を集める学校でした。そこで出会ったのが蓑手さんだったのです。

そのころ、インターナショナルバカロレアを日本に先んじて導入した私立開智望小学校で働いていた五木田さん。突然「ICT主任」を任され、模索するなかでステモンの教室を見学し、中村と出会います。

理想の教育を描いていた蓑手さん、探究学習の分野を貫いてきた五木田さん。
そして、同じ教育起業家として中村と親しかった、HILLOCK(ヒロック)のファウンダーである堺谷武志氏。この三人の最初のつながりをつくったのが、ヴィリングの代表である中村だったのです。

自分の道を自分で決められる「幸せ」を持ってほしい

そして今年、二年目を迎えたHILLOCK(ヒロック)初等部。
そこにあるのは、シェルパと子どもたちの挑戦と模索の日々でした。答えがないものを追い続け、新しい未来を自らの手で作り上げていく大変さは、想像に難くありません。

それは、シェルパだけでなく、子どもたちにとっても…。

「そうですね。難しいです。でも、だから成長する。こんなに成長するのか!と、子どものポテンシャルに驚かされます」と蓑手さん。

「教育や学びのかたちは、もっと多様でいいんです。やりたきゃ、やればいい。やりたくなきゃ、やめればいい。行きたい学校があれば、受験勉強もやればいい。でも、そうでなければ、試験の問題が解けても解けなくても、人生には関係ない。みんなが知っていることを知らない子がいても、それでいいんです」。

「いま日本には選択肢がなさすぎるので、選択肢を増やしたいと始めたのが、HILLOCK(ヒロック)初等部です。ただ、HILLOCK(ヒロック)には中等部はありません。だから、彼らは卒業のころには、『自分がどういうふうに生きていきたいのか』を決めなきゃいけない。自分の道を、自分で決める。それが、幸せの絶対条件です。人に与えられたことをやっとく、というのは不幸のはじまりなんです」。

蓑手さんのメッセージは、私たち大人の心にも、ぐさりと刺さったのでした。

目指すのは、子どもたちが「自分で未来を創る力」を伸ばすこと

ステモンでは、サンプルを見せたり、知識を伝えたりしますが、「答え」は子どもたち、一人一人のなかにある、と考えています。

ステモンが、すべてのプログラムのなかで、繰り返し伝えているのは、
・選択肢を知る。
・好奇心を持つ。
・自分で決める。
という3つのステップです。


それは、HILLOCK(ヒロック)初等部が目指す「子どもたちが、自分で自分の幸せをつかみ取ることのできる力を持てるように!」という思いと、大きく重なっていることが分かりました。

なぜHILLOCK(ヒロック)初等部は、開校以来、なぜSTEMONブロックを使っているのか?

それは、オルタナティブスクール「HILLOCK(ヒロック)初等部」と「STEMON(ステモン)」、どちらも「子どもたちに、自ら考え、チャレンジし続けてほしい」と願い続けているからなのでした。

「自分で未来を創る力」を子どもたちが伸ばすために、私たち大人ができるのは、子どもたちがチャレンジする場をつくることだけかもしれません。

日本の新しい教育のかたちを創る
「HILLOCK(ヒロック)初等部 https://www.hillock-primary.com
が取り入れているSTEMONのプログラムは、お近くのステモンで体験できます。


お住まいの近くでステモンの教室を探してみるhttps://www.stemon.net/schools/

ライター紹介

宮本幸子(みやもとさちこ)/地方でも実現できる「プログラミング的思考を育むSTEAM教育」に関心を持ち、株式会社ヴィリング取り組みを取材。タウン誌の編集やラジオリポーターを経て、現在はライター・講師として活動。徳島県在住、二児の母、1980年生まれ。