幼児期からのSTEAM教育|幼稚園・保育園で取り入れるべき理由と具体的な実践方法とは

幼児期からのSTEAM教育|幼稚園・保育園で取り入れるべき理由と具体的な実践方法とは
「STEAM教育」という言葉を耳にしたことはありますか?これは、これからの社会を生きる子どもたちに必要な“考える力”や“創造する力”を育む教育として、今注目されている学びの形です。STEAM教育は、柔軟性豊かな幼児期からはじめると特に効用が高いと考えられており、すでに幼稚園・保育園でも導入が進んでいます。
本記事では、STEAM教育の基本からその重要性、園での実践方法まで、初めての方にも分かりやすく解説します。
STEAM教育とは
STEAM教育の基本概念
「STEAM教育」は、近年、世界中で注目されている教育手法です。
STEAMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(芸術・表現)、Mathematics(数学)の頭文字を組み合わせた言葉で、これらの分野を横断的に学ぶ教育法を「STEAM教育」といいます。
たとえば、理科の実験に数学の考え方を取り入れたり、身の回りの道具を分解して仕組みを考えたり、自由な発想で作品をつくる中で工学やデザインの視点を学んだりします。
従来のように「一つの教科に切り分けて学ぶ」のではなく、身の回りの課題をテーマに、複数の分野を横断して考えることで、子どもたちは「自ら課題を設定して答えを導き出す力」や「創造的に表現する力」を育むことができます。
つまり、STEAM教育は、これからの時代を生きる子どもたちにとって欠かせない「創造力・表現力・論理的思考力・問題解決力」をバランスよく育てる新しい学び方なのです。
STEAM教育の背景
STEAM教育が注目される背景には、社会の急速な変化とテクノロジーの進化があります。現代社会では、従来の教育方法では対応しきれない問題が増えており、創造的な問題解決能力を育む必要性が高まっています。これからの時代を生き抜くためには、単に知識を得るだけでなく、それを活用し、他の分野との関連を考慮しながら問題を解決する能力が重要になります。
また、AIやロボット技術、バイオテクノロジーなどの進展により、さまざまな職業が変化し、新たな職業が生まれる時代です。そのため、子どもたちは異なる分野を横断的に学び、創造的に問題を解決できる能力を育てる必要があります。このような背景から、STEAM教育は今後の社会で重要な役割を果たすと考えられています。
幼児期にSTEAM教育を取り入れるべき理由
幼児期は学びの土台が作られる時期
幼児期は、子どもたちの成長において最も重要な時期のひとつです。脳が急速に発達し、見るもの・聞くこと・触れることすべてが「学び」へとつながります。この時期に体験したことや感じたことは、その後の学び方や物事の捉え方、将来の生き方にまで大きな影響を与えます。
特に、「なんで?」「どうして?」といった好奇心や探求心が自然と湧き上がるのが、この幼児期の特徴です。そんな時期に、「学ぶって楽しい!」「わかると嬉しい!」と感じる経験を積み重ねることは、子どもにとって非常に大きな意味を持ちます。
STEAM教育は、こうした子どもたちの好奇心や探求心を出発点にして、学びを広げていくアプローチです。科学的な現象に触れたり、身の回りの仕組みに目を向けたり、自分の感じたことを表現したりすることで、「考える力」や「感じる力」の土台を築いていきます。
幼児教育とSTEAM教育
幼児期は、五感をフルに使って世界を知ろうとする「探求のスタート地点」です。触ったり、分解したり、絵を描いたりといった遊びの中で、「これはなに?」「どうなってるの?」と自ら学びの扉を開いていきます。そんな子どもたちの自然な好奇心に寄り添い、遊びと学びをつなぐのが、STEAM教育のスタイルです。
STEAM教育では、子どもたちの「やってみたい」「知りたい」という気持ちを起点に、主体的な学びを促します。たとえば、ブロック遊びで構造やバランスを考えたり、身の回りの仕組みに目を向けて「どうしてこうなるの?」と考えるなど、STEAMの要素は日常生活や遊びの中に自然に組み込まれています。こうした活動は、幼児教育で大切にされる「遊びを通じた学び」との親和性が高いのです。
また、幼児教育では「正解を教える」のではなく「感じること・考えること・表現すること」を重視しますが、これはSTEAM教育の考え方とも一致しています。子どもたちから湧き上がる疑問を一緒に考え、試してみるプロセスそのものが、豊かな学びとなります。
つまり、STEAM教育は、幼児教育の中で日々行われている活動に、科学・数学・芸術などの視点を織り交ぜ、「考える力」「表現する力」「つくり出す力」をさらに育てていくアプローチなのです。
子どもたちの「楽しい!」という気持ちを何より大切にしながら、その中に確かな学びが育まれていくという点で、幼児教育とSTEAM教育は非常に相性が良く、互いを高め合う関係にあるといえるでしょう。
先進国でも注目される幼児期からのSTEAM教育
近年、先進国では、幼児期からのSTEAM教育の重要性が認識され、実践が進んでいます。アメリカやヨーロッパでは、すでに多くの幼児教育機関がSTEAM教育を取り入れており、子どもたちの創造性や探求心を引き出す手法として高く評価されています。こうした国々では、早い段階から柔軟な思考力や課題解決力を育てることが、将来のキャリアや社会生活においても有益であると考えられています。
日本でもこの流れは広がりつつあり、幼児期からSTEAM教育を導入することで、子どもたちの学びの土台を作り、未来を生きる力を育むことが期待されています。世界的な教育の潮流をふまえても、今後ますます「幼児期からのSTEAM教育」が重要になっていくと言えるでしょう。
幼稚園・保育園で実践できるSTEAM教育の実践例
幼児期にこそ取り入れたいSTEAM教育ですが、実際にどのように園の活動へ組み込めるのか、具体的な事例をご紹介します。難しく捉える必要はなく、日々の遊びや保育の中にも、STEAM的な要素を自然に取り入れることが可能です。
1:自然体験を通じて学ぶ
科学(Science)や芸術(Art)を取り入れる方法として、自然との関わりを深める活動が効果的です。これは、多くの園ですでに日常的に行われている活動かと思いますが、園庭での虫探しや季節の植物観察、砂遊び、水遊びなど、五感を使って自然と触れ合う体験は、子どもたちの科学的な好奇心を刺激します。
たとえば、落ち葉を観察して形や色の違いに気づいたり、水を使って泥の感触を比べたりする中で、子どもたちは自然の不思議さに触れ、「どうして?」という問いを持つようになります。こうした子どもたちの素朴な疑問に耳を傾け、一緒に考えていくことが、STEAM教育の第一歩です。
また、自然の中で感じたことを絵や工作で表現することで、芸術的な視点も加わり、より豊かな学びにつながります。
2:おもちゃや遊具で科学と技術を学ぶ
科学や技術と聞くと難しく感じるかもしれませんが、幼児向けの知育おもちゃや遊具を活用することで、自然とこれらの要素を学ぶことができます。
たとえば、磁石でくっつくブロックやピースを組み合わせるパズル遊びでは、「どう組み合わせたら形ができるかな?」「くっつく・くっつかないの違いはなぜ?」といった科学(Science)的な気づきが生まれます。また、ブランコやすべり台などの遊具も、力の加わり方やバランスの取り方など、工学(Engineering)や技術(Technology)的な視点を育むきっかけになります。
子どもたちは、遊びを通して「なぜ?」「どうして?」を感じながら考える力を育み、科学や技術の基本的な感覚を体で覚えていくのです。
3:体験型学習での問題解決能力の育成
STEAM教育で大切なのは、子どもたちが自分で考え、試し、失敗しながら答えを見つけていくプロセスです。そのためには、「正解のない問い」に取り組む体験型の活動がとても効果的です。
たとえば、「どこまで高く積めるかな?」「水をどうやって遠くまで流そう?」と、積み木や砂場で子どもたちが日々楽しんでいる遊び。よく見るおなじみの光景かもしれませんが、実はこうした遊びの中にも、試行錯誤や観察、推測といったSTEAMの要素がたくさん詰まっています。
「崩れちゃったからどうしよう?」「もっと長くするには?」など、子どもたちは自然と課題を見つけ、工夫しながら解決しようとします。そこに、保育者が「どうすればもっと安定すると思う?」「別の素材を使ったらどうなるかな?」と問いかけを加えることで、より深い学びへとつながります。
こうした日々の遊びの中で、子どもたちは課題に向き合う力、工夫する力、友だちと協力する力など、非認知能力※も自然と育まれていきます。「失敗しちゃったけど、やり直したらできた!」という経験は、自己肯定感の向上にもつながる大切な学びです。
このように、園の日常的な活動の中にSTEAMの要素を取り入れることで、子どもたちにとって無理のないかたちで学びを深めていくことができます。
※ 非認知能力について詳しくはこちら
https://www.stemon.net/blog/hininnchinouryoku/
幼稚園・保育園のSTEAM教育ならステモン
日々の保育の中で、すでにSTEAM教育的な要素を取り入れている園も多いかと思います。積み木や砂遊びを通じて、子どもたちは自然に、試行錯誤や観察・推測といった学びを深めています。
ただ、そんな日々の活動だけでは、時に子どもたちの好奇心をさらに引き出すには物足りないと感じることもあるかもしれません。もっと体系的に、深い学びを広げ、子どもたちが本気で夢中になれるような活動を提供したいと希望されることもあるかと思います。
そんな時におすすめなのが、
幼児・小学生向けのSTEAM教育&プログラミングスクール「STEMON(ステモン)」です。
ステモンでは、発達段階に応じた充実のカリキュラムと教材で、子どもたちの探求心を引き出し、学びをさらに深めることができます。
ステモンとは
ステモンは、日本初の幼児・小学生向けSTEAM教育&プログラミングスクールです。
ブロック・プログラミング・ロボットなどを使ったものづくり体験を通じて、身近にあるものの仕組みや原理を学びます。AI時代を生き抜くために必要な、創造力・表現力・論理的思考力・問題解決力を身につける習い事として、全国175教室以上を展開しています。(2025年1月現在)
また、公教育向けのICT支援事業や教職員向けのプログラミング教育・STEAM教育研修、また児童・生徒に向けてSTEAM教育の授業など、公教育実績も豊富にあります。
ステモンは、年中から小学校6年生まで通える全7クラスを展開しており、それぞれの年齢・発達段階に応じた教材とカリキュラムを提供しています。幼児向けには「キンダリークラス」が用意されており、ブロックを活用したものづくりで身近なものの仕組みを体感したり、ロボットやゲームを通してプログラミングの基本概念を学ぶことができます。楽しみながら学びの土台を築くとともに、試行錯誤する力や問題解決能力、「なぜ?どうして?」という探究心などを自然と育てることができます。
また、ステモンのレッスンには正解がありません。レッスンのテーマに沿っていれば何を作ってもよく、正解は一つとは限りません。自分が思い描いたものを完成させるための努力が認められたり、 試行錯誤しながらも完成した時には達成感を感じることができ、成功体験を積み重ねることで自己肯定感を育みます。
ステモンの幼稚園・保育園向けSTEAM教育
ステモンでは、全国の幼稚園や保育園でも導入が進んでおり、「STEAM教育を始めたいけれど、どこから手をつければいいか分からない」といったお悩みに対しても、専門スタッフが丁寧にサポートを行っています。年間カリキュラムの提供、講師派遣、園の先生方向けの研修など、ニーズに合わせた柔軟な導入が可能です。
また、年間を通した習い事プログラムとしての導入だけでなく、単日イベント等でのワークショップ開催も可能です。
園のニーズやご状況に合わせて、ステモンのSTEAM教育をご導入いただけます。
幼稚園・保育園での導入例
園名
もりながこども園さん
実施概要
頻度:月2回
時間:朝の会のあと1時間〜1時間半
対象:年長児(現在は7名)
担当者:ステモン担当の保育者1名がレッスンを実施
※現在は少人数のため1人で対応可能だが、今後人数が増えた場合は担任が補助に入る体制を検討中
保護者の反応と子どもたちの様子
毎回の活動内容は写真付きで保護者に共有しており、好評の声が寄せられています。子どもたちも、楽しみながら新しいことに挑戦する姿勢が育まれており、「学びになるし、なにより楽しい」と、園の先生もその効果を実感しているそうです。
園説明会でのアピールポイントに
園の説明会では、「年長になるとSTEAM教育を行うこと」を事前に伝えており、園の教育方針を伝える一つの要素となっています。「良い教育をしている園」という印象を保護者に与えるブランディングの一助になっていると感じられています。
まとめ
STEAM教育とは、科学や工学などの複数分野を横断的に学ぶことで、子どもたちの創造力や問題解決力を育む教育手法です。
幼児期は、好奇心や探究心が芽生え、学びの土台が築かれる大切な時期です。この時期にSTEAM教育の視点を取り入れることで、子どもたちは遊びを通して考え、試し、発見する楽しさを自然と身につけていきます。海外でも注目が高まる“幼児からのSTEAM教育”は、これからの時代を生きる力の基盤となるものです。
ステモンでは、園の保育や方針に寄り添いながら、無理なく始められる幼児向けのSTEAMプログラムをご用意しています。「まずは話だけでも聞いてみたい」という園さまも歓迎です。ぜひお気軽にお問い合わせください。