コンピュテーショナルシンキングとは

コンピュテーショナルシンキングとは、ジャネット・ウィング氏が2006年に「コンピュータサイエンティストの思考法である」と提唱し、これが一般的に広まっています。

同氏の「Computational Thinking」という論文にて、「コンピュータサイエンティストの思考法である」定義したことと、日常の多くでコンピューターが活用されるライフスタイルの変化によって浸透していきました。

 

なぜコンピュテーショナルシンキングが大切なのか?

社会はこの20年で大きく変化しました。

日本政府がかかげる「Society5.0」を参考にすると、「狩猟社会」→「農耕社会」→「工業社会」→「情報社会」へと時代は変わり、そしてこれから「AI時代」へと突入していきます。

このような社会のなかで単にプログラムを作るための知識やスキルではなく、身近な生活のあらゆる場面で問題を見つけ、それと向き合う態度と、解決するためのコンピューター活用力が重要なのです。

society5.0より

コンピュテーショナルシンキングとは、「コンピューターの仕組みに関する知識」や「プログラミング教育」にとどまらず、

    • ・問題を発見する力
    • ・コンピュータを活用した課題の分析と、コンピュータを活用した問題解決アイデアの発想力
    • ・アイデア実現するための思考力・表現力
    • ・粘り強く仲間と協働して成し遂げる態度

といった、総合的な力が重要であると解釈すべきキーワードです。

日本国内ではコンピュテーショナルシンキングよりも「プログラミング教育」のほうが認知されていますが、プログラミング教育の本質も、プログラミングスキルを習得することではなく、ここにあると認識すべきものなのです。

海外ではコンピュータサイエンスが主流

日本では2016年に必修化が決まり、2020年からはじまるプログラミング教育というキーワードが広まっていますが、海外では「プログラミング教育」や「Programming Education」といった言葉はほぼ使われていません。

英国やイスラエル、ロシアなどの日本よりも先にプログラミングが必修化されている国では、「Computer Science」または「Computing」という名称が一般的です。

「Computer Science」という教科のなかで、ITリテラシー・ICT教育・プログラミングの3つを学ぶことができる構造になっています。

Computer Scienceの目的こそ、まさにコンピュテーショナルシンキングと言えるでしょう。

日本のプログラミング教育関係者は、「プログラミングスキルを育む」という発想ではなく、「コンピュテーショナルシンキング=コンピュータを活用した問題解決力・表現力を育む」という前提を認識しなければ、中長期的にはずれた学びになっていく懸念があるといえます。

2020年の必修化が始まる前の今だからこそ、コンピュテーショナルシンキングの本当の目的を広めていきたいものです。

 

PISA学習到達度調査がコンピュテーショナルシンキングを追加決定

PISAとは、OECD(経済協力開発機構)において実施されている国際的な学習到達度に関する調査で、(Programme for International Student Assessment)の頭文字をとったものです。PISA型学力といった使われ方もします。

義務教育修了段階において、これまでに身に付けてきた知識や技能を、実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかを測ることが目的で、日本では高校一年生が対象でテストを実施します。

「科学的リテラシー」(日本2位)や「数学的リテラシー」(日本5位)、「読解力」(日本8位)が国別にランキングされ、文部科学省も担当部署を設置し対策するなど、日本の教育水準を世界上位であろうと取り組んでいます。

このPISA(学習到達度調査)にコンピュテーショナルシンキングも加わることが2019年10月に決まりました。

これからPISAの対象になる高校1年生は、科学・数学・読解力のほか、コンピュテーショナルシンキングもテストを受け、国際的にどの位置にあるのかをはかることになります。

このことからも、コンピュータが日常的な存在かつ、社会を発展させるために重要な科目であると認識されたことがうかがえます。

コンピュテーショナルシンキングの学びに取り組むことは国家としても重要なのです。

 

国立教育政策研究所 OECD生徒の学習到達度調査のポイントより

 

日本のコンピュテーショナルシンキングの学びの現状

それでは、日本国内のコンピュテーショナルシンキングを学ぶ場はどのような状況でしょうか?

職業としてコンピュータに携わる人にとっては企業内や研究機関で学ぶことができます。また、大学や高専などでも専攻分野として選択することで、「コンピュータの仕組み」や「コンピューターの作り方」、そして「コンピュータの活用の仕方」を学ぶことができます。

一方で子どもたちへの学びの環境に目を向けると、コンピュテーショナルシンキングというコンセプトで学ぶことができる場所は非常に少ない状況です。

 

自由に表現や創造をするSTEM教育で育む

類似するコンセプトとしてはSTEM教育があります。STEM教育は、理数IT分野を横断的に学び、個性を尊重した学びを維持しながら、創造力や表現力、問題解決能力を育むことを狙いとしています。単に理数教科の勉強ではないのが特徴です。

2013年に日本初のキッズ向けSTEM教育スクールとしてスタートした「STEM教育スクールSTEMON」も、”テクノロジーを活用したアート教室”というコンセプトのもと、AI時代に輝く人を育てるという教育理念で運営しています。

このステモンはプログラミング公教育実績NO.1の知見がありながら、大人が使用するプログラミング言語は使用していません。
それは、コード(プログラム)を書く力を身につけるよりも、コンピュータを活用して問題を解決する柔軟な発想力や構想力を育むことを大事にしているためです。
そして、粘り強く挑戦する態度などの非認知能力を高めるために、野外活動なども積極的に行っています。

理数ITの学びを野外活動に取り組むステモン生徒たち

STEM教育をさらに分解していくと、子ども向けのプログラミング教室やロボット教室があります。これらもSTEMの一環と言うことはできるでしょう。しかし、2019年の現在ではすでに子ども向けプログラミング教室やロボット教室は8000教室を超えるといわれており、その中も多様になってきているようです。

大人が使用するRubyやpythonといった本格的な言語を学ぶスクールもあれば、あらかじめ用意されたパーツを手順書通りに組み立てることで達成感を感じやすくする教室など、様々です。

どれ良いかは一概に言えませんが、コンピュテーショナルシンキングの目的をおさえ、子どもたちが連続的かつ発展的に学ぶことができるカリキュラム開発を行っているスクールは非常にわずかといえます。

コンピュテーショナルシンキングで一番大切なこと

2020年からはじまるプログラミング教育において、文部科学省は「プログラマーを育てるものではない」と明記しています。
音楽がピアニストを育成することが目的ではないように、体育がプロ選手を育成することが目的ではないのと同じように、小学校におけるプログラミング教育の目的はプログラマーを育てることではないのです。

しばしば、IT企業において「エンジニア不足」などがさけばれ、それによって子どものうちからプログラミング教育が必要だと主張する人もいますが、私たちの考え方は違います。

いまの子どもたちにとって大事なのは、「プログラミングができるスキルを身につける」ことではなく、「コンピュータを活用できるようになることで問題解決の幅を飛躍的にひろげる」ための資質・能力を育むことです。

そのために大事なことは、「まずはコンピュータを楽しむこと」です。楽しい=遊び=学びではない、という古い考えは捨てましょう。
むしろ、遊びの中にこそ学びがあるのです。

なぜなら、楽しみながら遊ぶことで子どもたちはたくさん実践をします。たくさん実践をすることで法則的に気づき、それに理論を学ぶことで深い理解となるのです。

先に理論やスキルを身につけさせることで、理解が浅くなったり、定着度をテストされ、比較され、苦手意識を持つことが生まれるサイクルはもう令和時代の学びには合わないでしょう。

ステモンのような理念のSTEM教育のコンセプトでも「コンピュテーショナルシンキング」という理念は十分に体現できるようになってきました。

発達段階に合わせた「コンピュテーショナルシンキング」を、今後教育関係者が保護者がしっかり認識し、子どもたちに提供していきましょう。
その象徴的なスクールとして、ステモンも引き続き貢献していきたいと思います。

 


ステモンでは、日本の子どもたちへ一緒にSTEM教育を広めてくださるフランチャイズ教室オーナー様を募集しています。私たちの理念に共感してくださいましたら、ぜひステモンフランチャイズの加盟もご検討ください。

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https://www.stemon.net/fc_lp/