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2020年から変わる新しい学習指導要領の概要と大学入試との関連性

こんにちは!ステモン運営事務局です。

本日は、「2020年から変わる新しい学習指導要領の概要と大学入試との関連性」についてお話させていただこうと思います。

 

 

東京オリンピックが開催される2020年は、日本の教育も変化の年となります。10年に一度改訂される新学習指導要領が2020年に小学校で全面的に実施され、その後、順次中高でも実施されます。

これまでの教育実践の蓄積をもとに、発展していく未来社会において子どもたちが能力を発揮でき、自立的に生きていく真の力を培うための新しい教育を行うというものです。

新学習指導要領では、各教科の内容および目標を3つの柱で整理しています。その3つは「学力の3要素」とされ、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力、協働できる人間性」です。この柱に則して、授業は創意工夫され、教科書等の教材も改善されます。

小学校課程では、学びの基盤となる言語能力、情報を活用する力、問題の発見とそれを解決する力を育成することがとくに重要となるため、教科等を横断するような学習を充実する必要があるとされています。

このように、新学習指導要領は「何を学ぶか」というだけにとどまらず、学びの先に「何ができるようになるか」までねらいを定めています。そして、「どのように学ぶか」というところまで含めて具体的に提唱されています。さらには、この教育改革を実現するためには、学校内の教育に閉じずに、社会に開いていくことが重要だとしています。

 

 

新学習指導要領のなかで、まずは言語能力の確実な育成が不可欠とされています。実験レポートの作成や根拠を明らかにして議論できる力など、言語能力はどの教科においても、学習の基盤となるからです。

さらに、グローバル化が進む社会において欠かせないのが外国語教育です。そのため、小学校3~4学年で外国語活動を、5~6学年では英語教科を導入します。小中高等学校一環とした学びを重視し、外国語能力の向上を目指します。また、今後、中学・高校では英語の授業は基本的に英語で行われることになるため、小学校中学年から英語や異国文化に触れて親しみ、高学年では読み・書きまで学ぶことによって、これまでより早期から英語教科の学習に取り組むこととします。

こうした英語力の強化と同時に、国語教育と連携し日本語の特徴や言語の豊かさに気づくような指導も充実させます。外国語の学習とともに異文化への理解を深め、積極的に交流できるコミュニケーション能力を養い、社会に出て活躍できるよう「使える英語・生きた英会話」を身に付ける教育が実施されます。

情報活用能力の育成については、ICT環境を整えた上で、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用した学習活動の充実が図られます。研究や問題解決に必要なデータを収集・分析できるよう、その基礎となる理数教育のさらなる充実が求められるため、理数授業時数は2~3割程度増加します。

小学校では、文字入力等のコンピュータ操作の習得はもちろん、日常生活から問題を見出し解決につなげる活動や、見通しをもった観察・実験などを充実させるという「プログラミング的思考」を育成する学習活動が実施されます。

説明しておきますと、プログラミング教育とはプログラミング言語を記述してプログラムを動かすという教育ではありません。実際にコンピュータを使って、指示した処理を行わせたり、ロボットを組み立てて動かしたりという体験をさせることもありますが、指示の組み合わせや改善を繰り返すことによって結果がどのように変化し、目的どおりにできるようになるのかといった論理的に考える力を「プログラミング的思考」といいます。新学習指導要領で取り入れられるのは、プログラミング的思考を育成するためのプログラミング教育です。

新学習指導要領ではどのように学ぶのかというと、すなわち「アクティブ・ラーニング」を取り入れた授業が行われることになります。アクティブ・ラーニングとは、教師が一方的に授業を行う形式ではなく、生徒自身が主体的・対話的に参加し、学びをより深くできるものです。グループワークやディスカッションを積極的に取り入れた授業に変わるため、受け身ではなく疑問や発見、解決といったプログラミング的な思考が育まれていくと期待されます。

 

 

こういった新学習指導要領の実施には、教員の技能の向上や子どもたちにきめ細かく指導できる体制が必要なため、周知や研修が徹底されることになります。とはいえ、教科単体のみ、あるいは学校内での教育という枠を超えたボーダレスな思考力・学びが必要となるため、家庭や地域などの協力・連携が不可欠でもあります。

2020年の教育改革の大きなものとしてもう一つ忘れてはならないのがセンター試験が「大学入学共通テスト」に変わることです。新学習指導要領で変わった学び方で育成した個人の能力を評価・判断するためには、やはり試験の内容が変わる必要があるからです。

どのように考えて導き出した解答なのかを論理的に説明するという思考力や表現力を評価するために、国語と数学の大学入試では一問一答形式で回答するマークシートではなく、記述形式の出題がなされます。

そして英語の大学入試では、これまでの「聞く」「読む」 に加えて「話す」「書く」 の4技能が評価され、その評価には英語の民間資格・検定試験の成績が活用されます。

そのほか、個別の大学試験においては多面的・総合的評価が導入されます。一般選抜でも調査書・志望理由書・小論文・面接などが各大学の必要性に応じて課されることがあり、一方では学校推薦型選抜、総合型選抜でも学力評価が重視されるようになります。

入試形態を問わず重要視される調査書とは、学校の成績プラス部活や委員会、ボランティア活動など課外活動を含む内容が記載されたものです。このことからも、記憶力に頼ったり反復学習で習得できる学力だけでは不十分であることが明らかといえます。

2020年から変わる新しい学習指導要領を知ると、学校の授業だけではなく生活の中にも常に学びがあることが分かり、そしてその重要性に気がつきます。ものごとの見方やとらえ方、考え方を親子で意識し語り合うことが新学習指導要領の目的や学び方とも重なります。

子どもたちがよりよく生きるための真の学力を目指した学習指導要領への理解と備えは、その先にある新しい大学入試を突破できる力になることはもちろん、将来社会で役に立つスキルを獲得するための大きな一歩となります。

【参考】
文部科学省

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/05/12/1384661_1_1.pdf
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/03/30/1375607_01.pdf
http://www.mext.go.jp/a_menu/a002.htm

ベネッセ教育情報サイト

https://www.benesse.jp/kyouiku/kyouikukaikaku/img/english.pdfhttps://www.benesse.jp/kyouiku/kyouikukaikaku/img/education.pdf

https://www.benesse.jp/kyouiku/kyouikukaikaku/img/exam.pdf
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